Legal Note

リーガルノート

2022.01.26

2022-2-2 中国における外商投資規制に関する政策動向

M&P Legal Note 2022 No.2-2

中国における外商投資規制に関する政策動向

2022年1月29日
松田綜合法律事務所
中国弁護士 徐 瑞静

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1 はじめに

2021年から2025年にわたる中国の第14次5か年計画に従えば、中国の開放分野は益々拡大され、外資企業にとっても新しいビジネスチャンスとなります。関連政策によると、中国は、この期間中に、製造業、サービス業、農業の拡大開放を持続推進し、外資企業による投資の持株制限を徐々に緩和する予定です。電信、インターネット、教育、文化、医療などの分野の関連業務の秩序正しい開放、及び、外商投資に関する法令、輸送等の業界の業務範囲、人員資質等の要求の緩和を推進します。これによる中国経済の変化を正しく理解するため、以下において、中国への投資に関わる最近規則規定について紹介します。

2 中国外商投資ガイドライン(2021年版)

中国商務部は、2021年11月5日、第4回中国国際輸入博覧会における外商投資促進発表会において、「中国外商投資ガイドライン(2021版)」(以下「ガイドライン」という。)を発表しました。ガイドラインは第3回博覧会において初めて公布されましたが、これは、外資企業が中国での投資、興業、生活における位置付けや発展方向の判断基準を理解するためのものであり、商務部は、今後も、毎年の統計データ、法令・政策等の変動状況に基づいて、定期的にガイドラインを改正する予定です。
商務部は、ガイドラインにおいて、今後、中国が対外開放を引き続き拡大し、外資の参入ネガティブリストを削減し、博覧会の開催等、展覧会を通じてグリーン発展、デジタル経済等の重点産業に対する企業誘致を高め、また、外資企業とプロジェクトのサービス保障を引き続き強化し、経営環境を持続的に最適化し、中国における外資企業の経営に対するより多くの支援方針を明確にしました。
また、ガイドラインにおける新たな増設事項として、カーポンピークアウト及びカーポンニュートラルが国家戦略として増設されました。気候変動は人類が直面している世界的な問題であり、各国の二酸化炭素排出に伴い、温室効果ガスが急増し、生命に脅威をもたらしている中で、中国がより強力な政策と措置を執り、二酸化炭素の排出は2030年までにピークアウトに達し、2060年前にニュートラルを実現することを表明しています。
そして、中国に対する一層の理解及び投資のための新しい参考資料として、ガイドラインでは、中国投資に関わる法律制度、外商投資取扱手続、並びに、外国籍者の中国における就労、居住、家屋、教育、医療等に関する許認可及び関連情報を紹介しています。

3 外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)

中国では外商投資に対して、参入前の国民待遇とネガティブリスト管理制度を実施しています。参入前の国民待遇とは、投資参入の段階で、外国投資者及びその投資に対し、中国国内投資者及びその投資に対するよりも下回らない待遇を意味し、また、ネガティブリストとは、中国が特定の分野において外商投資に対して実施する参入特別管理措置の下に、ネガティブリストの範囲内の事業について外商投資の禁止・制限を行う一方、それ以外の業界、分野、業務等については、外資企業は法に基づいて平等に参入することができることを意味しています。外資企業はネガティブリストに照らして自らの行動基準を確認し、ネガティブリストに適合しない部分を事前に改善し、中国への進出効率を高めることができます。
2013年の外資参入ネガティブリスト第1版が発表されて以後、外資参入ネガティブリストは6回改正されていますが、2021年12月27日、国家発展改革委員会及び商務部は、第47号令及び第48号令を公布し、「外商投資特別管理措置(ネガティブリスト)2021年版」(以下、「全国版」という。)及び「自由貿易試験区外商投資特別管理措置(ネガティブリスト)2021年版』(以下、「自由貿易区版」という。)をそれぞれ公布し(以下、両者を「外資参入ネガティブリスト」と総称する。)、2022年1月1日から施行しています。なお、自由貿易区では、貿易や投資等の面において、WTOの関連規定よりも優遇された貿易手配を受けられるよう、緩和された内容のネガティブリストが実施されます。
2021年版の外資参入ネガティブリストにおいては、対外開放レベルは一層向上されており、外商投資参入前の国民待遇とネガティブリスト管理制度が健全化され、投資の自由化と便利化の推進傾向が見られます。その主な変化には、製造業の開放をさらに深化させることが含まれています。例えば、自動車製造分野について、全国版では、乗用車製造の外資出資比率の制限は撤廃され、同一外資企業が中国国内において同類の完成車製品を生産できる合弁企業を2社までとする制限も撤廃されました。また、自由貿区版における乗用車の外資規制、製造業に対する外資規制も全部撤廃されました。以前、国家発展改革委員会は、自動車産業の外資規制開放予定につき、2018年に電気自動車(EV)等の新エネルギー車の外資出資比率を廃止した後、2020年に商用車の外資出資比率制限を廃止しましたが、続いて、2022年に乗用車の外資出資制限を廃止し、合弁企業を2社に制限する規制を撤廃すると発表しました。この内容は、外資参入ネガティブリストで確認されており、計画通り、すべての自動車領域で出資規制がなくなっています。

4 おわりに

以上のように、中国においては、対外貿易に対する新たな「計画」による方向づけのもとに、着実にその内容を実現していることが看取されます。それらの目標が2025年までに、どれほど「計画」通りに達成されるかは注目されるところですが、「計画」が2年目に入った現在、第14次の「計画」が決して机上に止まらず、しかも、期待以上の成果を達成することも予想されます。今日の中国における5年のスパンが、かつての同じ5年とは決定的に違うことが実証されていると言うことができるように思われます。

 

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