Legal Note

リーガルノート

2020.12.10

2020-13-2 中国の「輸出管理法」について

M&P Legal Note 2020 No.13-2

中国の「輸出管理法」について

2020年12月14日
松田綜合法律事務所
中国弁護士 徐瑞静

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1、はじめに

中国は、2020年10月17日、「中華人民共和国輸出管理法」(以下、「輸出管理法」という)を公布し、12月1日から正式に施行されています。「輸出管制法」の施行前には、中国は、「対外貿易法」、「税関法」、「刑法」等の法律及び行政法令の中で、すでに輸出管制について規定していましたが、商務部が、2020年9月19日、「信頼できないエンティティリスト規定」(商務部令2020年第4号)を公布して、輸出規制に対する中国の措置をさらに明確にしました。現在まで、世界では、アメリカ、ロシア、ヨーロッパの数多くの国々が輸出規制法を導入しており、輸出規制に関する法制度が整備されています。「輸出管理法」においては、中国の輸出規制経験がまとめられたうえで、国際慣行が参考とされて、輸出管理政策、管理リスト、管理措置、監督管理、法律責任等に関する諸規定が設けられています。以下では、それらの諸規定について簡単に紹介します。

2、「輸出管理法」の概要

(1)規制の対象となる主体

輸出管理とは、特定物の輸出を禁止するか、または制限する措置により、当該物の使用主体または用途を制御することをいいます。「輸出管理法」によりますと、輸出規制違法行為の主な責任主体は輸出事業者であり、輸出事業者のために、代理、貨物輸送、配達、通関、第三者電子商取引プラットフォームや金融サービスを提供する組織及び個人、並びに、外国輸入業者及び最終ユーザーも同様に規制の主体とされています。

(2)最終ユーザー及び最終用途に対する規制問題

「輸出管理法」の規制の主体となる最終ユーザーの中でも、取り分け、管理品目の最終ユーザーが、許可を得ることなく、無断で管理品目の最終用途を変更したり、第三者に譲渡した場合、国家輸出管制管理部門は、外国輸入業者及び最終ユーザーを規制リストに登録し、それらの者に対して、管理品目に関わる取引の禁止や制限などの必要措置を命じることができます。規制リストに登録された外国輸入業者は、最終ユーザーが規制リストから削除されなければ、中国の輸出事業者との取引を行うことができません。

(3)管理される品目

管理品目には、デュアルユース、軍用品、核及びその他の国家の安全と利益の維持、拡散防止等、国際義務の履行に関する貨物、技術、サービス、並びに、関連品目の技術資料等のデータが含まれます。国家輸出管制管理部門が、関連部門と共同で管理品目の輸出管理リストの作成や調整を行うことになりますが、現時点においては、未だ、輸出管理リストは発表されていません。

(4)管理される行為

以下のような行為が、輸出管理行為となります。

  1.  中華人民共和国域内から域外への管理品目の移転
  2.  中華人民共和国公民、法人及びその他の組織による外国企業及び個人への管理品目の提供
  3.  管理品目の国境通過、転送、再輸出
  4.  保税区、輸出加工区等の税関特殊監督区域、及び、輸出監督倉庫、保税物流センター等の保税監督管理区域からの海外への輸出

3、主管機関

「輸出管理法」の規定に基づき、国務院、中央軍事委員会が輸出管理機能を担い、その他の関連部門と共に、職責分業に従い、輸出管理業務に責任を負うこととされています。商務部、工信部等は、引き続き、国家輸出規制管理部門として関連業務を担当します。国家輸出規制管理部門は、管理リストに記載されている管理品目または臨時管理品目の輸出審査を受理し、単独で、または関連部門と共同して審査し、輸出許可証を発行し、「輸出管理法」に違反する行為を処罰します。

税関は管理品目の輸出通関申請を受理し、輸出管理許可証及び輸出品目を検査し、「輸出管理法」に違反する行為を処罰します。

4、管理方式

(1)管理リスト

「輸出管理法」の規定に基づき、国家輸出管制管理部門は、輸出管理品目について、リスト管理を行いますが、当該リストは次のような二種類に分けられています。その一つは、法や政策に基づき制定された輸出管理リストであり、もう一つは、法や政策の需要に応じて、管理リスト以外の貨物、技術とサービスに対し臨時的に管理する輸出管理リストです。臨時管理を行う場合、その実施期間は2年を超えないものとされます。ただし、実施期間が満了する前に、評価の結果により、臨時管理を取り消すか、延長するか、または、輸出管理リストに加える等が認められており、そのような点における不確定性があります。

(2)許可制度

国家は、管理品目の輸出に対して、許可制度を実施します。上記のような管理リストの区分に対応して、輸出許可も二種類に分けられています。その一つは、輸出管理リストに記載された管理品目の許可であり、もう一つは、臨時管理品目の許可です。

なお、輸出管理リスト及び臨時管理リスト以外の品目に関しては、輸出者が知っているか、若しくは知るべきであるか、或いは、国家輸出管制管理部門の通知を受けて輸出されようとする貨物、技術及びサービスが、中国の国家安全と利益に危害を及ぼす可能性があるとか、大量破壊兵器及び運搬手段のために設計、開発、生産または使用されるか、またはテロ目的に使用される可能性がある場合には、許可を得なければ輸出することができません。

5、罰則

(1)行政処罰

「輸出管理法」は、輸出管理に違反する行為を規定しており、主な違法行為責任の主体となるのは輸出業者です。輸出管理に対する違反行為の行政処罰として、罰金があらゆる場合に適用されますが、罰金の額は高く設定されており、最高罰金額は違法額の20倍に達します。また、同時に、輸出に関する経営活動が制限されたり、禁止されたりするほか、輸出管理品目に対する輸出経営許可資格が取り消されることもあります。

(2)刑事責任

「輸出管理法」において、国家が輸出を禁止している管理品目や許可されていない輸出管理品目を輸出する違反行為をした場合には、刑事責任を追及されることになります。すなわち、当該違法行為がある場合には、刑法上の「密輸罪」及び「違法経営罪」に問われる可能性があります。

(3)域外効力の問題

「輸出管理法」は、外国輸入業者が輸出管制管理に関わる規定に違反した場合にも、その法的責任を追及する法の域外執行管轄権について定めています。例えば、外国輸入業者が、刑事犯罪の共犯を問われる場合、または、中国から購入した管理品目の最終的な使用ルートを無断で変更したり、第三者に譲渡し、海外へ転売したりした場合には、法的責任を追及される可能性があります。

6、まとめ

「輸出管理法」が実施され、それが、去る9月に公布、実施された「信頼できないエンティティリスト」や「中国輸出制限技術目録」等の関連規定と結び付けられることに対し、企業は、それに対応するコンプライアンスを整備しなければなりません。今後は、輸出先(供給先)、最終ユーザー、関連第三者としてのコンプライアンス管理を強化し、もって、貨物、技術、サービスが輸出許可証等の制限を受ける場合に該当するか否か、慎重に確認することにより、はじめて、中国との関係における良好な企業運営が保持されることになるといわねばなりません。


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