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2017-10-1 ウェブ上でのITサービス立ち上げの注意点①

M&P Legal Note 2017 No.10-1

ウェブ上でのITサービス立ち上げの注意点①

2017年12月28日
松田綜合法律事務所
弁護士 佐藤 智明

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第1 本稿で触れる基本的な規制

本稿では、まず、アマゾンやメルカリのようなネット上の通販、オークションサイトなどの典型的なウェブサービスを想定し、気を付けるべき基本的法律をピックアップして簡単な説明を行い、続けて、FinTechなどのイノベーションが期待される分野に関する規制や話題に触れたいと思います。ウェブサービで問題となる法律は様々ですが、本稿では以下の法律をピックアップします。

  • 消費者契約法
  • 不当景品類及び不当表示防止法(「景表法」)
  • 特定商取引に関する法律(「特商法」)
  • 個人情報保護法
  • 資金決済法

第2 ケースの大別

ウェブサービスは極めて多種多様ですが、ここでは、以下のように単純化します。

  • 個人などの一般消費者向けにサービス提供を行うケース(「消費者向けサービス」)
  • 企業等の法人や個人事業主を相手にサービス提供を行うケース(「企業向けサービス」)

1 消費者向けサービスにおける規制

以下、サイトのインターフェース構築などにあたり、念頭に置いておくのが望ましい場面のある法律につき論じます。

  • 消費者契約法

消費者契約法では、不当な勧誘があった場合に契約の取消しが可能であること及び不当な契約条項があった場合において当該条項が無効となることが定められています。

そのため、契約内容自体を消費者に不利なものとしないのは当然として、必要に応じてサイト上における商品・役務の内容を平易で理解しやすいように説明することが求められ、消費者が認識しておく必要のある不利な情報(キャンセル期間の制限、キャンセル料の発生等)は適切にサイト上で提供する必要があります。

これに加え、インターネット上の消費者向けサービスでは、電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(以下「電子契約法」といいます。)にも注意が必要です。同法第3条では、「確認措置」がない限り、消費者の操作ミスなども民法95条の錯誤により契約無効が主張できるように定められています。確認措置とは、「申込みを行う意思の有無及び入力した内容をもって申込みにする意思の有無について、消費者に実質的に確認を求めていると判断し得る措置」(「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」1-1-2)をいいます。例えば、申込確認画面を設けて契約内容を十分に認識させ、契約確定前に訂正の機会を消費者に与えたうえで契約成立とさせるような作りなどが、これに当たります。

  • 景表法

景表法は、主に顧客誘引の手段として取引に付随して経済上の利益(=景品)を提供すること(「景品規制」 景表法第4条)及び商品・サービスの内容(効果、性能)、価格その他の取引条件について実際のもの又は競業者のものより著しく有利なものと表示すること(「表示規制」 景表法第5条)、を規制しています。

景品規制は、景品として提供できる利益に上限が設けられています。例えば、サイト来訪者へ配布するクーポンの額、購入額に応じて購入者にサイトで使えるポイントをあげる場合のポイント数等に上限が設けられることになりますので、顧客誘引手段に注意が必要となる場合があります。

他方、表示規制に関しては、消費者契約法などと同じように必要な情報を適切に提供することで消費者の誤認を防ぐ必要があります。上記の例でいえば、購入額に応じたポイントをあげることを殊更アピールしながら、実際はそのポイントの利用範囲や期間に制限があることを適切に情報提供していない場合、表示規制に違反している可能性があるといえます。

景表法の規制に違反した場合には、措置命令や課徴金の納付を命じられる可能性があります。

  • 特商法

インターネットにおける消費者向けサービスは、特商法上の「通信販売」(特商法第2条第2項)に該当します。その結果、同法第11条の定める広告規制の適用を受け、事業者の氏名、所在地、連絡先、販売条件(価格、支払時期、支払方法、引き渡し時期)等の所定事項の表示が必要となります。

よくECサイトなどで「特定商取引法に基づく表示」として、記載されている事項です。

事業者と消費者が直接取引当事者となるタイプのサービスだけではなく、事業者が、第三者(企業、個人いずれの場合もあります。)と消費者とが取引できる場を提供するタイプのサービスでも、原則としてこの表示は必要です。

もっとも、第三者が通信販売業者であれば、当該第三者に特商法の規制が及ぶ点には留意する必要があります。たとえ、事業者自体が法律違反をしていなくても、取引の場を提供している立場上、事業者には、第三者に法律を遵守させるよう適正なサイト運営が求められます。そこで、第三者や消費者との利用規約では、利用者に対し法令遵守義務を明示する条項や、法令違反があった場合にはサービス停止をする条項を設けるなどの工夫が必要といえます。

2 企業向けサービスにおける規律

  •  基本的な考え方

企業向けサービスでは、上記各法律のうち消費者の権利、利益の保護を目的とした消費者契約法や特商法など原則的に適用されず、基本的には当事者間の契約を主とした法律関係に拘束されることとなります。

  • データの連携

企業向けサービスも、情報提供、シェアリングサービス、財・サービスのマッチングサービスなど、その形態は多種多様です。近時、API活用によってソフトウェア機能の共有化やデータ連携などが容易になり、これまでより開発コストをかけない形で、様々な分野への新規参入チャンスが高まっています。特にIoTやAIの分野へのイノベーションの期待の高まりを受け、第4次産業革命をめぐる様々な動きがみられます。

  •  個人情報保護法

これらの分野におけるイノベーションは、事業者間でデータ連携が大いにされることが、そもそもの前提となっています。ここでいうデータは、取引価値のあるものが想定されますが、その中には個人情報の含まれている場合があります。

取引価値がある以上、当然、重要な会社の資産ですので、社内で提供基準を設け、契約相手との間で利用範囲の制約をするなど取引上の規律を策定し、しっかりとデータを守る必要があります。

個人情報の含まれているデータの場合には、これに加え、個人情報の保護に関する法律(「個人情報保護法」)の規制がかかります。

データ連携にあたっては、まず、個人情報保護法上、取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止のための安全管理措置を講じる必要があります(個人情報保護法第20条)。

データ連携にあたっての個人情報保護法上で特に重要な点は、第三者提供の同意を取得しなければならない、という点です。同意の取得方法には、提供のタイミングで都度取得するパターンや、サービス提供開始時に同意する利用規約などにより予め取得しておくなど、いくつかのパターンが考えられますが、いずれにしても情報の性質上、ユーザーにとって不測とならないような工夫する必要があるでしょう。

また、改正個人情報保護が施行されたことにより、個人情報の提供を行うにあたっては、提供側・受領側双方において、それぞれ提供記録・確認の作成義務が設けられました(個人情報保護法第25条、第26条)。

以上のような、データ連携及びデータ利活用のニーズの高まりを受けて、改正個人情報保護法では新たに匿名加工情報の制度も設けられましたが(個人情報保護法第36条以下)、これについては弊所で以前発行したM&P Legal Note 2017 No.5-1「【改正個人情報保護法】匿名加工情報を作成・利用するための実務上の留意点」で詳細を解説していますので、そちらもご参照ください。

第3 まとめ

今回はあくまで典型的に想定できるケースのみを前提として、簡単な説明に留めています。次回は、資金決済法を中心とした話題や規制などを論じたいと思います。

 

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この記事に記載されている情報は、依頼者及び関係当事者のための一般的な情報として作成されたものであり、教養及び参考情報の提供のみを目的とします。いかなる場合も当該情報について法律アドバイスとして依拠し又はそのように解釈されないよう、また、個別な事実関係に基づく具体的な法律アドバイスなしに行為されないようご留意下さい。