新型コロナウイルス関連労務対応

新型コロナウイルス対応関連労務

新型コロナウイルスの感染は拡大しており、緊急事態宣言が出された場合の企業の取りうる対応につき、現時点での情報をまとめています。
既に、いわゆるロックダウンが行われた場合にどう対応すべきか、従業員に対する労務対応につき、多くのご相談をいただいております。
そこで、今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウンが行われた場合の労務対応について、ご説明します。

また、新型コロナウイルス対応に関する労務Q&Aを掲載しておりますので、人事労務担当者の皆様にご活用いただければ幸いです。

 

新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言と労務対応

1 緊急事態宣言が出された場合のロックダウンについて

 

(1)法的整理

最近、ニュースで取り上げられている緊急事態宣言が出された場合のロックダウンですが、こちらについて、海外で行われているような、一切の外出が禁止されて自宅隔離となると思われている方も多いように思います。

しかしながら、これには誤解があります。

そもそも、緊急事態宣言とは、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、「特措法」といいます。)第32条に定める新型インフルエンザ等緊急事態宣言(以下、「緊急事態宣言」といいます。)を指しています。この緊急事態宣言が出された場合には、都道府県知事は、住民に対し、新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができるものとされています(特措法第45条1項)。

こちらは、あくまで自粛協力要請であり、法的に一切の外出を禁止するものではありません。また、自粛協力要請の対象となる外出には「生活の維持に必要な外出」は除かれています。同法の逐条解説によると、「生活の維持に必要な外出」とは、医療機関への通院、食料の買い出し、職場への出勤などを指すとされておりますので、緊急事態宣言が出されたとしても、労働者が就業場所に出勤することは可能です。

※新型インフルエンザ等対策研究会「逐条解説 新型インフルエンザ等対策特別措置法」(中央法規、2013年)157頁から158頁。

以上の通り、緊急事態宣言が出され、これに基づく措置が採られた場合であっても、法的に職場への出勤などが禁止されるわけではありません。

 

(2)休業手当支払の要否

緊急事態宣言が出された場合の措置についての法的整理は、上記の通りですので、そのような事態になっても労働者は出勤をすることが可能です。

そのため、緊急事態宣言及び外出自粛協力要請が出されたことを踏まえ、使用者が一時的な休業を行う場合、これは使用者自身の判断によるものですので、休業手当(労働基準法26条)として平均賃金の6割以上の支払は必要です。

 

(3)年次有給休暇の取得

使用者が一時的な休業を行う場合、上記の通り、休業手当の支払は必要ですが、労働者が希望した場合には、年次有給休暇を取得してもらい、通常の賃金を支払うという扱いも可能ではあります。ただ、年次有給休暇を取得することは、労働者の権利ですので、当然、使用者がこれを取得するように強制することはできません。

また、計画年休についての労使協定を締結している事業場の場合、その労使協定において、具体的な付与日を定めておらず、別途計画表によるとして計画表の作成時期手続きを労使協定中に定めているなど、機動的な規定になっている場合には、これに基づき年次有給休暇を取得させることは可能です。

ただ、そのような機動的な規定になっているケースは多くはないかと思いますので、①希望者には年次有給休暇を取得してもらって通常の賃金を支払い、②これを希望しない者や年次有給休暇が残っていない者については、休業手当を支払う、ということが、現実的な対応であると考えます。

 

2 雇用調整助成金について

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために休業をした、又は休業を予定している企業が増えている関係で、雇用調整助成金に特例措置が定められ、この受給に関するご相談が当事務所に多数寄せられています。

こちらの雇用調整助成金の受給のためには、事前に労使協定を締結しておく必要があります。厚労省のHPに、「現在、事後提出の特例を講じており、書類の整備前に、休業等の実施が可能となっております。」との記載があることから、労使協定も事後的に締結すれば足りるとも誤解しがちですが、少なくとも、現時点においては、労使協定の事後的な締結は認められておりませんので、注意が必要です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

なお、このような状況ですので、随時、特例措置が拡大する可能性はあり、最新の情報は厚労省のHPや管轄のハローワークに確認をする必要がありますので、この点はご留意下さい。

 

新型コロナウイルス対応労務Q&A

Q1:新型コロナウイルス罹患を防ぐため、労働者に休業を命じようと思います。休業期間中の賃金の支払は必要でしょうか。

現時点では、新型コロナウイルスに罹患していない労働者を休業させるということは、本来ならば就労可能であるにもかかわらず、就労を拒否するということですので、労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」(休業手当として平均賃金の6割以上の支払義務あり)、民法536条2項「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったとき」(賃金満額の支払義務あり)に該当するのではないかということが問題になります。

文言上は、重複しているかのように見える二種類の条文ですが、労働基準法26条の使用者有責の場合の有責は、6割補償で済ませることとの相関でかなり広く解されており、使用者が管理している範囲内で起きたことであれば、本当の意味で使用者に責任があるわけではなくても該当すると理解されています。例えば、加工を行う製造業で、原料供給メーカーの落ち度で原料が届かなかったため、やることがなく労働者が働けなかったという場合も労働基準法26条の使用者有責に該当するとされています(昭和23・6・11 基収1998号)。

これに対して、民法536条2項の有責というのは、やや狭く、故意、過失又は信義則上これらに準ずる事由がある場合とされており、本当の意味での落ち度がある場合には、100%の補償をしなさいという内容となります。

現時点(本稿のリリース時点)における新型コロナウイルスに関する科学的知見及び蔓延状況を鑑みると、適切な予防措置をとれば感染を避けることは可能のようですので、この時点において労働者を休業させることは、事業が継続可能であるにもかかわらず使用者の自主的な判断で休業するという評価になる可能性があります。すると、民法536条2項の使用者有責に該当する可能性があります。

一方で未知の部分も多く、感染力が強いことをうかがわせる情報も散見されることから、不特定多数の者との接触が想定される事業(特に、接客業など)を中心に労働者に対する安全配慮義務として、又は感染拡大の防止のため、休業の判断をすることは合理的と考えられ、民法536条2項の使用者有責とまではいえないものと思われます。このような場合でも、上記の通り、労働基準法26条の有責は広いことから、これに該当する可能性はあると考えられます。

以上の通りですので、今後の状況等により流動的ではあり、また、使用者の事業内容にもよりますが、新型コロナウイルス対応として、使用者が休業を選択した場合には、少なくとも労働基準法26条の休業手当の支払は必要であると考えられます。

なお、民法536条2項は任意規定であるため、就業規則等で休業の賃金補償について民法536条2項の適用を排除して労働基準法26条の休業手当を支給すると定めている場合には、使用者が義務を負うのはその限りになります。もっとも、当該規定を有していたとしても、今回の事態に適用するかについては、使用者に裁量がありますので、今回が非常事態であるということを踏まえ、労働者と十分な話し合いをすべきであると思います。

 

Q2:新型コロナウイルス対応で短時間勤務や在宅勤務を実施したいと思います。就業規則の改定は必要でしょうか。短時間勤務にする場合、給与を按分して支払ってもよいでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、時差通勤を目的として短時間勤務とする対応や、在宅勤務を奨励するといった対応が考えられます。

従前から就業規則において在宅勤務や短時間勤務を想定した定めがあれば、これに従うことになりますが、そのような定めがない場合は、短時間勤務や在宅勤務を命じることの可否が問題となります。

この点、就業規則に定めがあることが望ましいものではありますが、新型コロナウイルス対応の目的で臨時的な措置として行うのであれば、労働者との合意の下、就業規則に定めがなくとも、短時間勤務や在宅勤務を実施することは可能であると考えられます。

ただし、まず在宅勤務については、自宅等での就業であっても、労働基準法や労働安全衛生法の適用はありますので、使用者の労働時間把握義務や健康確保措置に関する義務等は職場に出勤して働くときと同様に存在することに注意する必要があります(これらの義務を十全に果たすために、本来的には就業規則の整備は欠かせません。)。また、情報セキュリティの観点や在宅勤務中の業務に対する人事評価の観点等からも、実際上一定のルールは必要です。

新型コロナウイルス対応をきっかけに、在宅勤務が拡充していく流れが想定されることからも、今後、就業規則の改定に取り組んでいくことは検討に値します。

次に、新型コロナウイルス対策として短時間勤務にする場合、給与をどのように取り扱うかが問題となります。

Q1でご説明した通り、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業(短時間勤務は部分的休業に当たります)の場合には、使用者は、休業期間中の手当として平均賃金の6割以上を支払わなければならないとされています。この休業手当は、1日の一部を休業した場合には、その日について全体として平均賃金の6割以上を支払うことが必要でありますので(昭和27・8・7 基収第3445号)、例えば、通常8時間勤務のところを7時間勤務にした場合に、給与を8分の7(=87.5%)とすることは、同条に違反するものではありません。

もっとも、短時間勤務は、通勤ラッシュの時間帯を避けることで労働者の感染リスクをできる限り軽減しようとすることを目的に予防的措置として行うものであり、このような部分的休業が、法令上要求されているということでも、事業の性質上要求されているというものではありません。そのため、このような短時間勤務については、使用者の自主的判断によるものとして、民法536条2項の「責めに帰すべき事由」に該当し、時間按分の賃金支払いでは足りず、賃金全額の支払いが必要であるという結論になるものと思われます。

 

Q3:新型コロナウイルス対応として、学校が臨時休校となったために、子どもの面倒を看る必要が生じたために出勤できない労働者に対しては、休業手当を支払う必要があるでしょうか。

Q1でご説明した通り、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」には、使用者は休業手当を支払う必要があります(労働基準法26条)。裏を返せば、「使用者の責に帰すべき事由」によらない休業の場合には、休業手当を支払う必要はありません。

政府からの要請を受けて学校が臨時休校となり、子どもの面倒を看る必要が生じたために労働者が出勤することができない場合、これは労働者の欠勤であり、「使用者の責に帰すべき事由」によるものではないため、法律上は、休業手当を支払う必要はありません。

もっとも、新型コロナウイルス対応は社会全体として感染拡大防止に向けた対応に取り組むべきものではありますので、これを単なる欠勤として扱ってしまうことは、必ずしも適切とはいえません。臨時休校を政府が要請するという異例事態ですので、このようなやむにやまれず出勤ができない労働者に対しては、労働基準法上の年次有給休暇とは別の、特別の有給休暇を付与することも検討に値します。

なお、行政も、小学校等が臨時休校となったことで出勤できない労働者に特別の有給休暇を取得させた事業主に対する助成金制度(日額上限8330円)を創設していますので、こちらの制度を利用することも考えられます。当該助成金制度の詳細については厚労省のHPをご参照いただければと思います。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09869.html

今後も行政が新たな支援策を打ち出す可能性がありますので、引き続き行政の動向に注視していく必要があります。

 

Q4:新型コロナウイルス対応として、正社員は在宅勤務とし、パート社員は一定期間の休業にしようと思うのですが、この場合、パート社員に対する休業手当の支払いはどのようにしたらよいでしょうか。

所定労働日数や所定労働時間が正社員と比較して短いパート社員についても、当然、労働基準法26条は適用されます。Q1でご説明した通り、新型コロナウイルス対応としての休業については休業手当の支払は必要であるため、パート社員にも休業手当を支払うことになります(上記の通り、民法536条2項に基づく賃金全額の支払が必要なケースもあり得ますが、以下では、労働基準法26条の休業手当を念頭に解説します。)。

労働基準法26条の休業手当の支給対象となる「休業期間」とは、もともとの所定労働日を指し、労働協約、就業規則又は労働協約により休日と定められている日は含まれません(昭和24・3・22 基収第4077号)。

そのため、例えば、3月1日から3月15日までの2週間を休業とする場合、雇用契約で就労日が「週2日」と定められているパート社員に対しては、上記休業期間について4日分の休業手当を支払うことになります。

雇用契約で就労日が「週3日以内」と定められており、就労日はシフトによって特定されているというケースの場合、すでにシフトによって就労日が特定されていれば、休業期間中の就労日数に応じて休業手当を支払えば足ります(例えば、3月中は、3月3日、5日、6日、14日、19日、24日、26日、31日が就労日と特定されていれば、4日分(3日、5日、6日、14日)の休業手当を支払えば足ります。)。

他方、就労日がシフトによって特定されていない状況であれば、雇用契約上は「週3日以内」との定めであり、労働者には就労請求権はないため、特定の週の所定労働日数が0日であっても契約違反にはならないと考えられます。そのため、このような状況であれば、休業期間(上記の例でいうと、3月1日から3月15日)にパート社員の就労日を入れなければ、休業期間中は単なる休日であって就労日ではないため、理論的には、休業手当の支払いは不要と考えることができます。

もっとも、雇用契約上は「週3日以内」と定められていても、過去の実績として、少なくとも週1日は就労をしており、週0日になることがないということであれば、「週3日以内」とは、週1日から週3日をいうものと解釈され、週0日とすることは雇用契約に反すると判断されるリスクもありますので、この点はご留意をいただく必要があります。

 

Q5:新型コロナウイルス対応として、接客業務のある事業所について休業することとしたため、接客業務に従事していたパート社員に対して、接客のない事務業務を命じることにしました。接客業務に従事する場合には特別手当が支給されることになっているのに対して、事務業務に従事する場合には特別手当は支給されることになっていない場合、特別手当を不支給にしても問題ないでしょうか。

まず、当該パート社員との間の契約内容として、当該パート社員の業務内容が接客業務に限定されていた場合(職種限定の合意がある場合)には、当然には接客業務以外の業務を命じることはできません。以下では、そのような限定がなく、当該パート社員に対して接客業務以外の業務を行うことを命じることができる権限が使用者にあることを前提とします。

接客業務に従事する場合に支給される特別手当は、あくまで接客業務に従事することを理由として支給されるものであり、当該業務に従事していない以上は、これを支給する必要はありません。

そのため、新型コロナウイルス対応として、接客業務ではなく事務業務に従事することとなったパート社員に対しては、接客業務に従事していない以上、特別手当を支給する条件を満たしておらず、これを不支給としても問題はないものと考えます。

なお、上記の点が紛争化するリスクを軽減する観点からは、各手当の支給条件を就業規則等に明記しておき、労働者にその支給条件を十二分に説明しておくことが肝要です。

 

Q6:イベントの開催箇所の縮小により、勤務地限定のパート社員を、イベントを依然として開催する会場で働いてもらいたいのですが、同意を得られなかった労働者に対してはどのように対応すればよいでしょうか。

雇用契約等において勤務地限定と定められた労働者には、契約上の勤務地での勤務しか命じることはできず、勤務地外での勤務に就いてもらうには労働者の個別の同意が必要です。そのため、契約上の勤務地外への勤務について本人の同意が得られない場合には、これを命じることはできません。

したがって、当該労働者には、勤務地内で行うべき別の業務を命じることができればこれを検討しますが、イベント開催の縮小によって業務が全く無くなってしまう場合には、出勤を免除するという結果にならざるを得ないでしょう。

この場合、出勤を免除したパート社員に対して賃金を支払う必要があるかどうかについては、イベント開催箇所の縮小が、法律や行政上の措置によって強制されたものではなく、使用者自身の判断によるものであれば、少なくとも、労働基準法26に基づく休業手当の支払の必要があるものと考えられます。この場合の休業手当の具体的な支給日数の考え方については、Q4を参考ください。

 

Q7:中国から帰国してきた労働者がいます。本人には自覚症状は全くないようですが、自宅待機を命じたいと思いますが、可能でしょうか。また、自宅待機を命じた場合の給与の扱いは、どうなりますか。

労働者には、雇用契約に基づく就労請求権は認められませんので、使用者は労働者に対し、業務命令権を根拠に自宅待機を命じることが可能です。自宅待機を命じた場合の賃金の扱いについては、民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」といえるか否かが問題になります。

ご質問のケースは、本人に自覚症状はないものの、新型コロナウイルスの感染が拡大している地域にいた労働者に対し、使用者が感染リスクをできる限り小さくするために、安全策として、労働者に自宅待機を命じるものです。あくまで特定地域にいたというだけですので、当然、その労働者が感染をしていない可能性はありますし、自宅待機を命じることが法令や行政によって要求されている状況ではありません。

そのため、このような措置は、感染症予防拡大の潜在的なリスクを重くみた使用者の独自の判断による対応であり、「債権者の責めに帰すべき事由」といえますので、給与を満額支払う必要があるものと考えます。

 

Q8:新型コロナウイルス対応として派遣先が事業場を閉鎖するとのことで、派遣労働者も自宅待機してほしいといわれました。派遣料はどうなりますか。

新型コロナウイルス対応の一環で、派遣先が自社の事業場を閉鎖する場合、派遣先の労働者の休業手当のみならず、派遣元との間の派遣料の支払いが問題になります。

労働者派遣基本契約書には、派遣先の「責めに帰すべき事由」によって派遣業務を行えない場合には派遣元は派遣先に派遣料金を請求することができる旨の規定が入っていることが多いかと思います。そこで、新型コロナウイルス対応で派遣先が事業場を閉鎖することが、派遣先の「責めに帰すべき事由」に当たるか否かが問題になります。

この点、現時点では、新型コロナウイルス対応での事業場の閉鎖は、法令に基づくものでも、行政からの命令に基づくものでもないため、派遣先は事業を行うことも可能ではあります。

そのため、新型コロナウイルス対応での派遣先の事業場閉鎖は、各事業主の自主的な判断に基づくものであって、派遣先の「責めに帰すべき事由」に該当するものと思います。

したがって、派遣元が派遣料金全額の請求をすることも、理論的には可能です。

ただ、社会全体が新型コロナウイルスの感染拡大防止のために必要な対応を自主的に行っている中で、派遣料金全額の請求を行うことは、派遣先と派遣元の今後の関係にも影響を来しかねませんし、社会の趨勢にも合わない面もあります。

そこで、派遣先と派遣元との間で協議をした上で、派遣料の全額ではなく、一定額を割り引いた支払いをすることとし、新型コロナウイルス対応への相互協力をすることが望ましいと思います。

具体的な落としどころとしては、派遣先が事業場を閉鎖したことで休業を余儀なくされた派遣労働者について、派遣元は、少なくとも休業手当(労働基準法26条)の支払は必要になると思われますので、当該休業手当相当額(派遣労働者の平均賃金の6割)を派遣先が派遣元に支払うことが妥当なラインではないかと思います。

なお、派遣労働者の休業手当支払いの要否は、派遣元を基準に行われますので、特定の派遣先が事業場を閉鎖したとしても、その派遣労働者を他の派遣先で就労させることができたということであれば、派遣元は休業手当を支払う必要はありません。このようなケースであれば、双方の協議で、閉鎖期間中は派遣料金の支払いをなしとすることもあり得るかと思います。

雇用調整助成金及び特例措置

新型コロナウイルス感染症対策としての雇用調整助成金及び特例措置の概要

黄色は6月30日までに計画届が提出された場合で、1月24日以降7月23日までに開始される休業に適用
赤色は6月30日までに計画届が提出された場合で、4月1日以降6月30日までの休業にのみ適用される特例

 

原則

特例措置

ポイント

適用単位

雇用保険の適用事業所

 

継続事業の一括をしている場合と、適用事業所非該当届の場合の違いに注意

支給要件

支給対象事業主

経済的理由で事業の縮小

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主

 

【生産量要件】生産指標3カ月間10%減少

3カ月10%を1カ月10%
1カ月5%へ

事後提出を認める関係で、生産指標は、提出があった月の前月と前年同月比で確認(「拡充します」に記載あり)事業所設置後1年経過していない場合は、前月と令和元年12月を比較する。

【雇用量要件】雇用指標が3カ月で5%を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していない

除外

 

対象期間

計画届に指定した雇用調整の初日から1年間

 

 

【クーリング期間要件】過去に受給したことのある事業主の対象期間は、直前の対象期間の満了の日から1年を超えていないといけない

除外

 

対象労働者

雇用保険の被保険者

雇用保険被保険者でない労働者も含める

 

判定基礎期間の初日の前日において雇用保険の被保険者として雇用された期間が6カ月未満である者は除く

6カ月未満でも対象とする。(1月24日以降も対象とする)

 

解雇予告者、退職願を提出した者、退職勧奨に応じた者は除く(離職の翌日に安定した職業に就くことが明らかなものは除く)

 

 

日雇労働被保険者は除く

 

 

書類の整備(共通)

様式第1号(1)計画届

事後提出

 

様式第1号(2)事業活動の状況に関する申出書

 

 

様式第1号(3)休業計画一覧表

省略

 

様式第1号(4)雇用指標の状況に関する申出書

省略

 

労使協定

 

 

委任状

省略

 

事業所の状況に関する書類(登記事項証明書or法人税確定申告書、労働者名簿)

既存の労働者名簿、中小企業の人数要件を満たせば資本に関する書類不要

 

生産指標の確認のための書類(月次の損益計算書or総勘定元帳or生産月報)

既存書類のコピーで可

 

派遣先管理台帳

 

 

所定労働日・休日・賃金締切日の確認書類(就業規則、給与規程、休日カレンダー、変形労働時間制・裁量労働制の場合は協定届等)

 

 

支給対象となる休業・教育訓練
※出向は省略

 

 

 

 

 

労使協定に基づく休業であること

 

 

対象期間内の休業であること

 

 

【休業規模要件】判定基礎期間における対象労働者の休業延べ日数が所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上

1/40(中小企業)、1/30(大企業)

ある程度の規模の休業をしないといけない

所定労働日の所定労働時間内の休業であること

 

 

短時間休業の場合は、当該事業所の対象労働者全員に対して一斉に行うものであること

事業所内の部門、店舗等の休業も可能

一部時短が可能になったが、担当業務と無関係に人ごとに時短を決めるほどの柔軟性まではないようである
時短にしてワークシェアリングをした場合も対象となる(「拡充します」)。

教育訓練は、受講日に業務につかせないものであること

半日訓練、半日就労可能

 

教育訓練は、直接業務に関係するものであり一般的抽象的なものは該当しないこと、講師が直接に指導するものであること

自宅でインターネット等を用いた教育訓練も含む

教育訓練該当性については当局への事前照会の必要性が極めて高い

書類の整備(休業等)

教育訓練の場合、通常の教育訓練の内容を確認できる書類

 

 

教育訓練の場合、雇用調整としての教育訓練の内容が確認できる書類

 

 

労働保険料に関する書類(労働保険料確定保険料申告書or労働保険料等算定基礎賃金等の報告)

添付不要

 

労働日・休日及び休業・教育訓練の実績の確認のための書類(出勤簿・タイムカード・勤務カレンダー・シフト表)

手書きも可

 

休業手当・賃金及び労働時間の確認のための書類(賃金台帳原則4カ月分で、通常の賃金と休業の手当又は賃金が区別されていること、時間数の表示があること、時間外労働の賃金が表示されていること)

給与明細の写し可

 

教育訓練の場合、教育訓練の受講実績に関する書類(受講者アンケート・レポート・外部講師の雇用調整助成金支給申請合意書)

 

 

支給額

支給額

平均賃金×労使協定で定めた手当・賃金支払い率×助成率×判定基礎期間における休業等延べ日数

 

 

平均賃金 確定保険料申告書の雇用保険料に対応する部分の賃金総額を1カ月平均被保険者数で除して1人当たりの賃金額を年間所定労働日数で除して1日分とした金額
上限8330円

 

6月30日までは被保険者以外も対象とするので、高止まりの可能性があるが、現時点(4/12)ではこの算出方法を変えない予定のようである。

前年度に雇用保険に係る保険関係が成立していなかった場合等(確定保険料申告をまだしていない場合)は、生産指標の「直近3カ月」の前の3カ月を対象に同様の方法で算出する。

 

生産指標に合わせて1カ月にするのかは不明

助成率 中小企業2/3 大企業1/2

中小企業4/5 大企業2/3
解雇等を行わない場合は、中小企業9/10 大企業3/4

「解雇等」は、一定の場合の雇止め(雇用実績が3年を超えた有期労働者の雇止め)及び、判定基礎期間の末日における労働者が1月24日から判定基礎期間の末日までの月平均労働者数の4/5以上であることであるので注意(「拡充します」に記載あり)。

教育訓練の場合、1人1日当たり1200円の加算額

中小企業2400円 大企業1800円

雇用保険の被保険者だけが対象。

【残業相殺】対象労働者が所定外労働を行った場合には、所定外労働の総時間数を代表的な所定労働時間で除した値を休業等延べ日数から差し引く

当面停止

 

支給限度日数

 

 

 

 

 

1年100日

 

4月1日から6月30日までの休業等は、「1年100日」にはカウントしない

1年100日というのは、正確には、(「雇用保険の被保険者数」×「100」)人日を休業できるという意味。

3年150日

 

3年150日は、過去3年以内に受給していた日数を控除して、これからの受給できる日数を決するというものである。ただし、過去の日数が100日を超える場合には上限は100日とされるので、最小でも50日の受給はできる。

計画届の提出

計画届の提出

計画届を助成金の支給対象となる休業等の初日の前日までに提出

6月30日までに事後提出可能

生産指標は、提出があった月と前年同月比で確認(「拡充します」に記載あり)

計画届の確認

 

 

 

経済上の理由の確認

 

 

 

支給対象事業主であることの確認

 

 

 

生産指標の確認

 

 

 

雇用指標の確認

 

 

 

中小企業事業主であることの確認

 

 

 

対象期間の確認

 

 

 

判定基礎期間の確認

暦月又は給与締切期間、対象期間が判定基礎期間の途中にある場合は、最初の(半端な)判定基礎期間+月の判定基礎期間

 

 

労働組合等の確認

 

 

 

委任状は支給申請書の初日までの提出することとしても差し支えない。

提出不要

 

支給申請

支給申請書の提出

判定基礎期間の末日の翌日から2カ月以内に申請しないといけない

 

 

様式第5号(1)支給申請書

簡易な様式に変更

 

様式第5号(2)助成額算定書

簡易な様式に変更

 

様式第5号(3)休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書

日付ごとの記載を廃止して日数合計のみに簡易化

 

共通要領様式第1号支給要件確認申立書

簡易な様式に変更

 

労働保険料に関する書類

不要

 

労働・休日及び休業・教育訓練の実績に関する確認書類

手書きも可
給与明細の写し可

 

教育訓練の実績に関する確認書類

 

 

雇用調整助成金支給合意書

 

 

支給要件の確認

※省略

 

 

 

支給決定

※省略

 

 

 

※2020年4月13日現在の情報です。

新型コロナウイルス感染症対策としての雇用調整助成金及び特例措置の概要(PDF)

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